国会では、議員の多数派の政党の代表が総理大臣になります。ところが、地方議会では、首長は多数派政党からは選ばれません。住民が選挙で直に首長を選びます。
では、なぜそのようになっているのでしょうか。それは、首長は特定政党の政策に縛られず、①広く市民の意見を聞き住民の自発的で創造的なエネルギーを地方政治に反映させること、そして、②多数派政党が作る中央政府からの地方に合わない政策の押しつけを抑制すること、この①と②が首長に期待されてきたからです。それにより、地方独自の文化力や発想力を守り育てることをめざそうとしたのです。国の政策が常に正しいとは限らず、むしろ、住民に一番近い地方自治こそ国民の問題と解決の手法を発見しやすいのです。
以上から、首長が政党の推薦や支持を受けることで政党からの強い影響を受ける形は、地方自治の特性を壊すことにつながります。特に現在の頼りない国政における与野党の建設的でない攻防を地方自治に持ち込んではなりません。政党の対立を持ち込まず、皆が充分議論し協力して問題を解決する、これが地方自治の醍醐味です。
地方自治の独立を守るか、従来の機能しない地方自治でよいか、それが問われています。